さっそく、沢山の方からご教授いただきました。感謝です。皆さんの回答も合わせて掲載させていただき、まとめておきます。
昨日、時効の発展編を学習した後、トレ問をやっていて浮かんできた疑問。
以下、私の質問です。
「時効利益の放棄の効果」の項目で、テキストにはこんな感じで載っていました。
【判例】時効利益の放棄の効果は相対的であり、消滅時効完成の利益を債務者が放棄しても、その効果は保証人、連帯保証人、物上保証人等に及ばない(大判T5.12.25)(大判S6.6.4)(最判S42.10.27)
しかし、トレ問を解いたときにこんな問題が。
以下の相談に関して、「できます」とこたえれるか。
「私は13年前、知人の債務を物上保証するため、私の所有する土地・建物に抵当権を設定しました。知人のこの債務は、弁済期から11年が経過していますが、債権者は、4年前に知人が債務を承認していることを理由に、時効は完成していないと主張しています。民法によれば、時効の中断は当事者およびその承継人の間においてのみその効力を有するとありますが、私は時効の完成を主張して抵当権の抹消を請求できますか」
そして、こんな解答が。
「『できます』と回答できない」
債務者の承認による被担保債権の時効中断の効力を物上保証人が否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されない。よって、抵当権の抹消を請求できない。
僕はこの問題を見たとき、「4年前に知人が債務を承認している」を「時効の利益の放棄」と解釈しました。そして「時効利益の放棄の効果は相対的」「消滅時効完成の利益を債務者が放棄しても、その効果は、、、、、物上保証人等に及ばない」と考え、「できる」と答えました。しかし、間違っていた。
解答を見ると、なるほどと思うのですが、じゃぁ、上のことはどうなのかと。そこで迷っています。
おそらく、根本的なそもそもの部分でボタンを掛け違えている状態だと思うのですが、どなたかご教授いただければ幸いです。
以上、質問。それに対していただいた回答。
横山祥二さん
2010-11-20 05:04:21
債務の承認は、時効中断事由なので、完成途中の時効がリセットされる要件。時効の利益の放棄は完成された時効を、その後使う使わないの話なので、別の論点となると思います。「物上保証人が担保物件の付従性(くっついてて離れない性質)により、消滅した時効を相対的に(分けて考えて)否定する事は出来ない」てのは覚える判例だと思ってしまった方が悩みが少ない(笑)と思います。せっかく時効完成したにも関わらずの、時効の放棄は、まわりも勝手に権利を放棄されたらたまんないから、「時効を援用して利益のある人」は「ちょっと待った~」って言えるわけです。
ninoさん
2010-11-20 09:06:44
間違ってたらごめんなさいなんですが、
最初の判例の方は、消滅時効のお話ですよね。
そして設問の方は、債務を承認したことで、時効が中断されますよね。
そして、中断した時から、新しい消滅時効がカウントされるのですから、
消滅時効自体成立してないのではないでしょうか。
2010-11-20 09:11:51
時効の利益の放棄は時効完成後に発生する事由です。
債務の承認は、時効完成前に発生する事由です。
おめこちゃん さん
2010-11-20 09:21:59
「時効の中断は当事者およびその承継人の間においてのみその効力を有する」ので、債務者は時効の中断をしている。つまり、債務者と抵当権者間で中断成立。抵当権の付従性により抵当権消滅せず ではないでしょうか?
2010-11-20 09:28:24
時効中断の効力の否定の主張は
債務者vs抵当権設定者(抵当権設定者の勝ち)
抵当権者vs抵当権設定者(抵当権者の勝ち)
以上、回答
みなさん、本当に分かりやすいご回答でスッキリしました。「時効利益の放棄」と「時効の中断」をごっちゃにしてしまっていたわけですね。疑問が解けました。
結局、試験の時も、こういった論点を見抜くといいましょうか、、、そういうのができていないんだな、、、という感じを受けました。それは基本をしっかり押さえることができていない証拠だと感じたわけで、じっくりと理解する必要性を今感じています。
【行政書士】122分 11/16(火)の学習時間、ただ今学習方法模索中。で書いた勉強方法では、私の場合それがつかないわけで。
しかし、お恥ずかしながら、やはり「根本的なそもそもの部分でボタンを掛け違えている状態」でした。
横山さん、ninoさん、おめこちゃんさん、本当にありがとうございました。はっ!っと一瞬で目覚めさせていただきました。感謝です。
今後とも、よろしくお願いいたします。